偏頭痛の針治療について

偏頭痛の針治療について

 偏頭痛は一度発作が起こると寝ても覚めてもどうにもならずに仕事を休まざるを得ない人や家事ができなくて寝込んでしまうほど重度の人から頭が重たかったりなんとなく痛むという様な程度の人まで人それぞれ。さらに吐き気や嘔吐が出たり、光や音に過敏になったりと頭痛以外にもたくさんの症状が出てきます。そんなやっかいな偏頭痛を当院の針治療ではどの様に治していくかをお伝えしていきます。

背骨の問題

 背骨に問題がある人は写真の青い点の場所に圧痛といって押すと他のところとは明らかに違う痛みを感じる箇所があります。その場所の圧痛を取り除いていくことから始めます。これらの場所に圧痛が出る人の特徴としては、過去に交通事故やラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツ、並びにスキーやスノボなどでの転倒からむち打ちの様な症状を患ったことがある人に多く見られます。

 なぜこれらの場所に圧痛が出ると良くないのかというと、偏頭痛は首の状態を改善させてあげないと治りません。そのために首の状態を改善させる必要があるのですが、まずは首を支えている土台から治療しなければなりません。この土台こそが写真の青い点の箇所となり、そこに首が悪い人は必要以上に負荷がかかり硬くなって痛みが出てしまっています。だから、この土台である背骨の硬さと痛みを取り除くことから始めていくのです。

 背骨の痛みを取り除くのに使うツボが脳戸という後頭部にあるツボを使います。ここに約5mmほど浅く針をすると背骨の周りが緩んで痛みが取れます。このツボに使う針はとても細いもので、針をする深さも5mmほどなので痛みを伴うことはありません。

内臓のトラブル

 次に内臓の調整を行います。東洋医学では五臓六腑といって5つの臓器(中身が詰まっている臓器。肝臓とか腎臓とか)と6つの中腔臓器(中身がなく空洞になっている臓器。胃とか食堂とか腸とか)に分けられています。そしてそれらがお互いを支え合いながら生命活動を営んでいるとしています。そのため、どれか一つでも調子が悪くなるとそれを他の臓器がカバーしようとしてもともとの悪い臓器に加えて、それを支えている臓器にも影響が出てしまいます。そのために、全ての臓器を詳細に確認しなくてはなりません。

 ではなぜ偏頭痛なのに内臓をみなければならないのか。これは人間の体はあくまでも一つの個体として捉える観点からなります。症状というものは一つの個体に対して部分的な要素でしかありません。偏頭痛で頭が痛いからといって頭部ばかりに気を取られているのは東洋医学ではナンセンスです。症状が出るからには必ず理由があります。もちろん、病院での検査を行って悪いものがはっきりとわかっていればそれが原因ですが、原因がわからないものも数多くあります。その時に考えなければいけないのが、なぜ症状が出ているのかということです。そして大抵は体からのサインの出し方として症状が出ていることがほとんどです。体の中の不調は意識的に感じ取ることはできません。例えば肝臓が悪かったら肝臓が悪いことは検査などしない限りわかりませんよね。だから体ははっきりとわかる様に症状という形でサインを出すのです。

 そのサインを出すにあたり重要なのが、サインをはっきりとわかる様な形で出します。それは少しのサインでは振り返ってくれないからです。体がちょっと張っていたり痒かったり、なんとなくだるい程度ならばわざわざ手当てすることもないと思います。でも体的にはそれでは困るのです。だからあえて本人にはっきりとわかる様にサインを出します。その典型例がぎっくり腰や寝違えですが、偏頭痛もよくあります。

 五臓六腑の不調が起こるとそのサインとして偏頭痛が出ているケースは過去にたくさん経験してきました。偏頭痛の患者さんの治療をする時に内臓の調子を整える治療をすると確実に改善していくことが今までの治療でよく感じています。

 では五臓六腑の不調はどこで見極めていくかというとお腹です。写真の青い点の場所にそれぞれの臓器の反応が出ます。背骨の時と同じ様に悪い臓器の反応点には圧痛が出ます。それを”太衝”や”公孫”という足のツボを使って取り除いていきます。このツボに使う針は世界で一番細い針を使い(直径0.5mm。髪の毛くらい)深さも3〜5mmくらいしか入れないので痛くはありません。それらのツボに針をするとすぐにお腹の圧痛が取れます。

自律神経のバランス

 自律神経のバランスを整えることも偏頭痛を改善させる上ではとても大切です。なぜならば偏頭痛は頭部の血管が拡張して炎症が増長されてズキズキとした拍動性の痛みが起こると考えられているからです。自律神経は血管の収縮と拡張をコントロールしています。そのため、自律神経の乱れが起こると偏頭痛の発作が起こります。

 自律神経は交感神経と副交感神経の総称です。交感神経は体のアクセルの役割を果たします。逃避するときや攻撃するとき、何か対処する時に体を昂らせて活動的にさせるのが交感神経です。ストレス時に活発になります。反対に副交感神経は体のブレーキの役割があります。休息を取り細胞を修復させたり胃腸の働きを良くして栄養を吸収したり、体を回復させる時に活動するのが副交感神経でストレス時はあまり出てきません。

 以上のことから、ストレスがかかると交感神経が常に活発になり本来の交感・副交感のバランスを乱してしまいます。そのため、そのバランスを整える必要があるのですが、どの様に整えるのかというとこれも乱れた時に体に出てくるポイントがあります。

 写真の青い点の場所は首の横にある胸鎖乳突筋という筋肉です。この筋肉は交感神経の活動が活発になりすぎている時にガチガチに張ってきます。ストレスで交感神経が昂りすぎていて自律神経のバランスが乱れている人はほぼ全てにおいてこの場所に硬さと圧痛が出ます。この筋肉の硬さと圧痛を取らない限り体はリラックスできないため自律神経のバランスが整わず常に体に負担がかかってしまいます。

 胸鎖乳突筋の圧痛を取るために外関という手首のツボに針をします。外関にはお腹の時と同様、世界で一番細い針を使って5〜10mmほどの浅い針をします。それだけで胸鎖乳突筋の硬さと張りが取れて圧痛がなくなります。

 胸鎖乳突筋の圧痛が取れれば、自律神経のバランスが整いやすくなるために血管の過度な拡張が治まって炎症も落ち着いていくと考えられます。ちなみに、交感神経は血管を収縮させて副交感神経は血管を拡張させますが、今までの説明だと交感神経の働きを抑えて副交感神経の働きを活発にさせることが偏頭痛の治療とは反対に思えるかもしれません。ただ、私たちの体には恒常性といって行き過ぎたものは抑える、低いものは高くするなど活動を一定に保つ仕組みがあります。それがあるために常にストレスで交感神経が昂って血管収縮しているとその反動で余計に少し休んだ時に副交感神経が出てきて血管を拡張させ過ぎてしまいます。だから交感神経の活動のし過ぎを抑えるという目的で針治療で体をリラックスさせる必要があるのです。そのために必要不可欠なのが胸鎖乳突筋の圧痛を取ることなのです。

まとめ

 以上お伝えしてきた主な3点を中心に、個人個人に合わせて適切な治療をしていきます。今までの偏頭痛の患者さんの経過をみると、どんなに重度の人でも頻度や程度が落ちる結果は出せてきました。一般的な偏頭痛の人はほとんど頭痛を感じないくらいにまで改善できてきた経験があります。

 通うペースは人により異なりますが、大体は初診から3回は1週間に1度が7〜8割といった印象です。重度の場合は3回ではなく5回必要になるかもしれませんが、そこは治療してみないとなんともいえません。その後は症状がなくなればまた痛くなるまで様子を見る人や月1程度でメンテナンスをする人と2通りに分かれますが、やはり偏頭痛は体質的なことが重要なので出来れば月1はメンテナンスをしてもらえればと思います。ちなみに、この2パターンはメンテナンス組は6割くらい、痛くなったらまた連絡組が4割くらいの比率でしょうか。

 以上、当院での偏頭痛の治療についてお伝えしてきました。偏頭痛の皆さんにとって何か少しでもお役に立てれば幸いです。

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