偏頭痛とは?その原因と症状や薬について

 偏頭痛といっても人により症状の程度や原因は多岐に渡ります。症状においては軽く痛みを感じる程度の人から寝込んで仕事に行けなかったり家事もできなくなる人もいて様々です。また、薬においても薬を飲んですぐに治る人もいれば全く効かない人、最初は効いたけど徐々に効果がなくなってきている人など個人差が非常に大きい症状の一つといえます。

 そこで、偏頭痛とはどういうものなのか。その原因や病態について詳しくみていきましょう。

偏頭痛とは?

 日本人においての片頭痛推定患者数は約840万人とされています。およそ100人中8人が患っている計算で、このことは日本における糖尿病有病率とほぼ同じです。幼少時(18歳未満)でも片頭痛を訴えることも多く、その場合は頭痛よりも不登校や早退などの行動で現れる傾向があります。成人でも日常生活に支障をきたすケースが多く、欠勤という形で現れることもしばしばあり、75%の方が15歳までに頭痛を自覚していると言われています。

 片頭痛の診断は現在では国際頭痛分類第3版β版において、前兆のない片頭痛・前兆のある片頭痛・慢性片頭痛・片頭痛の合併症・片頭痛の疑い・片頭痛に関連する周期性症候群に分類され、さらに細かな項目で分類されています。

偏頭痛の症状はどんなもの?兆候は?

 片頭痛の頭痛特性として、頭痛の前兆(約20〜30分)・片側のこめかみや目の奥から痛みが始まり増悪し全体へ波及・脈を打つような拍動性・持続時間は4〜72時間(小児では2〜72時間)・歩行や階段昇降で増悪などが挙げられます。また、頭痛に伴う症状として消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・便秘・食欲不振)・光過敏・音過敏・臭過敏・感覚過敏・四肢の冷感・めまい・眼球結膜充血・視野障害・頭皮の痛みなどが多くみられます。

偏頭痛の原因はなに?

 片頭痛の病態としてセロトニンが深く関係していることが1961年に片頭痛患者の尿の成分を研究した結果指摘され、セロトニンを治療として使用したが副作用が強く、そのために脳の血管に選択的に作用するセロトニン薬が研究されました。その結果、セロトニンは5HT1〜5HT7まで受容体の種類があり脳の血管収縮は5HT1で更にその中の5HT1B/1Dを解することが解明されて急性期治療に使用されるトリプタンが開発されました。

偏頭痛の薬は?

 国内においては5つのトリプタンが処方可能となっておりそれぞれの病態に応じて処方されています。国内のガイドラインである慢性頭痛の診療ガイドラインでも急性期の有効な治療で強く勧められるとされています。それぞれのトリプタンの特徴を以下に挙げます。ちなみに、トリプタンに予防効果はなく、異なる種類のトリプタンは同日に併用はできず、片頭痛の他の治療薬であるエルゴタミンとも併用できません。

・スマトリプタン(イミグラン)

 半減期が約2時間なので、服用して2時間後にも症状が強い場合には1錠追加できる。随伴症状で悪心・嘔吐が強い場合は飲むことが困難なために点鼻薬も開発されていて便利である。

・ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)

 半減期は約2時間であるが、スマトリプタンよりも吸収率が上がり脂溶性も改善されていて、口腔内速溶錠も出ている。効果が出現するまではスマトリプタンに比べてやや遅いが、ゾルミトリプタンを代謝させる際に発生する物質も頭痛の改善作用があるために効果時間は長いとされている。

・エレトリプタン(レルパックス)

 半減期は3.2〜3.9時間と長い特性があり、血液中の薬効成分が最も高まるまでは1〜1.2時間と短いので即効性と内服後の再発が抑えられるとされる。

・リザトリプタン(マクサルト)

 吸収が早く、薬の効き目が早いことが特徴であるが服用後の頭痛再発率は他トリプタンと比べて最も高い。

・ナラトリプタン(アマージ)

 半減期は約5.5時間で血中濃度の持続性がある。他トリプタンで内服後2時間後に発作再発がある際に有効とされるが、血液中の薬効成分が最も高まるまでは約2.6時間とされるため即効性には欠ける。

 以上のトリプタンの中から1種類最も効果が期待できるものや、他薬剤との併用を考慮し最少量から処方されます。服用のタイミングとしては頭痛を感じ始めた時から服用するとされ、前兆がある場合は前兆が終わり頭痛が始まった時点での服用が良いとされています。海外では消炎鎮痛剤との併用もされているみたいですが、発作の初期段階でトリプタンを服用すれば単独でも十分な効果が得られるので、大切なのは服用のタイミングとも言われています。トリプタンは血管系の持病がある方は注意が必要です。

 トリプタンを使用した急性期治療でも発作が更に多い、発作時の痛みが強く支障をきたす、効果が薄い、副作用や持病で使用でいないという場合は発作頻度と重症度と持続時間の軽減、急性期治療の反応の改善、ADLの改善あるいは向上を目的として予防治療が検討されます。

偏頭痛の予防は?予防薬もあるの?

 予防治療は生活習慣の改善は大前提として、薬剤も使用されます。片頭痛予防薬として、Ca拮抗薬(塩酸ロメリジン)、抗うつ薬(アミトリプチリン)、β遮断薬(プロプラノール)、抗てんかん薬(バルプロ酸)が保険適応となっており使用されています。どの薬剤も効果が出るまでは2〜3ヶ月が必要で短期間では効果の確認は出来ません。以下にそれぞれの特徴を挙げます。

・抗うつ薬(アミトリプチリン)

 有効性が高いために2012年に保険適応となる。緊張型頭痛にも有効とされるために、緊張型頭痛と片頭痛を合併しているならば第一選択肢に入る。眠気が多く見られることより、就寝前の服用が勧められる。

・β遮断薬(プロプラノロール)

 発作予防の効果が高く2013年に保険適応となる。高血圧や冠動脈疾患の合併があれば第一選択肢に入る。妊娠中の予防薬としても安全性が高いため用いられる。β受容体に関与するために低血圧や徐脈が副作用としてある。

・抗てんかん薬(バルプロ酸)

 アメリカでは頻繁に使用されていたが2010年より国内でも保険適応となる。ただし、妊娠中・妊娠の可能性があれば胎児の精神発達や奇形にも影響する危険があり禁忌。

・Ca拮抗薬(塩酸ロメリジン)

 他薬よりもガイドラインでの推奨度は低いが最も早くから保険適応があるため、よく用いられている。安全な薬であることもメリット。

 以上の予防薬を処方された場合は用法用量を正しく守り、3〜6ヶ月継続することが良いとされています。減量も自己判断ではせずに医師の診断を仰ぎ、徐々に減量しないと急に中止した場合には悪化することもあります。片頭痛治療の一番の目的は完治ではなく、QOL(生活の質)の改善にあります。残念ながら現時点で片頭痛の完治法はありません。

 ※小児(18歳未満)の片頭痛では基本的には薬を使用せずに食事、睡眠、誘発因子の除去などの生活習慣の見直しを図りますが、それでも症状が治まらない場合はトリプタンよりもイブプロフェン(ブルフェン)とアセトアミノフェン(カロナール)が効果的で安全なために使用されます。トリプタンも許容薬剤ではあるものの、基本的には使用しない傾向が多いようです。

アロディニアってなに?偏頭痛との関連も

 アロディニアとは本来ならば痛みを感じないくらいの小さな刺激でも痛みを感じてしまう感覚障害のことです。この原因としては現在は触覚を痛覚と脳が勘違いして捉えてしまっているとされています。このアロディニアが片頭痛と関連している可能性があるというのは、三叉神経が片頭痛により刺激され三叉神経が支配している頭顔面部が感覚過敏になり頭部アロディニアになるとされています。また、中枢性感作といい脳内における変化により脳内セロトニンの減少や、痛みという感覚を抑制する下行性疼痛抑制系の機能不全が関係しているのではないかと言われています。

 片頭痛の頭痛発作が進行した方の40〜70%でアロディニアを併発しているとされ、片頭痛の急性期治療薬のトリプタンを服薬し2時間後の頭痛消失率を比べるとアロディニアがない方は93%で頭痛が消失しているのに対して、アロディニア併発の方は15%とほとんど消失していません。アロディニアと片頭痛はこのようなことから関係性があるのでは、と言われています。

まとめ

 以上、偏頭痛に関しての原因や病態、症状や兆候についてお伝えしてきました。また、それらに対する対処法の薬や予防的にも薬が使用されることもあり、それらの薬についての詳しいことも書いて少しは参考になったでしょうか。

 偏頭痛は何度もいいますが重度になると日常生活に大きな妨げとなる厄介な疾患ですので、まずは偏頭痛というものに対して正確な知識を身につけておくと対処の選択肢が広がると思います。これらの記事だけでもかなりのボリュームになってしまったので治療においてはまた次回にお伝えします。

 偏頭痛をお持ちの方にとって、この情報が少しでもお役に立つなら嬉しく思います。

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