ひどい生理痛を緩和させるには

 女性ならではの悩みである生理痛。生理痛がひどくて会社に行けない、生理時は痛みのために寝込んでしまうなど生理痛は痛みはもちろん辛いけれど、それと同じくらい日常生活の上でも不便なものです。婦人科にかかっていてもなかなか良くならない生理痛はどういう原因があるのでしょうか。

生理痛はどんな症状が多い?

 生理痛とは、生理前後に起こる全ての痛みや不調のことをいいます。生理痛には生理前に起こるPMS(月経前症候群)や生理中に痛みが出るケースなど、個人により生理痛が起こる時期も違えば痛みや不調の程度も大きく異なります。

 一般的な症状はイライラ、乳房の痛み、下腹部痛、頭痛、吐き気などがあります。当院が今まで診てきた人たちも同様に同じような症状がありその他には咳、めまい、食欲不振、偏頭痛、腰痛、肩こりなどがありました。特に腰痛は7割くらいの人が抱えていたので、生理痛と腰痛は関連が深い印象があります。

 生理痛を抑えるために、薬でコントロールしたり痛み止めを服用している人がほとんどだと思います。ただ、薬のコントロールも徐々に効果が出なくなったり薄くなったりしてくるようです。当院の生理痛の患者さんは、薬を飲んでも効かなくなってきてどうにもならなくて来院した、というケースがほとんどです。

どうやって緩和させる?

 生理痛を緩和させるためには医療機関ではホルモンの薬や痛み止めが一般的でしょう。

 生理痛に関する薬は、鎮痛薬、ホルモン薬、漢方、子宮の動きのコントロール薬などがあります。これらは婦人科で処方されるものだけでなく、一部市販薬にもあるので一口に生理痛といっても薬を選ぶのは多くの選択肢があって迷うこともあると思います。

 病院で処方される薬は医師・薬剤師のもとで診察の結果処方されるので迷うことはないでしょう。そうではない場合は市販薬で対応すると思いますが、では生理痛に関する市販薬にはどのようなものがあるのでしょうか。

 まず始めに最もメジャーなのがロキソニンが含まれているロキソニンSやバファリンでしょう。ロキソニンは鎮痛効果が高く、痛みを和らげるという目的にとても適した薬ではありますが一方、胃潰瘍など消化器の副作用も強く出るために頻用はしにくいでしょう。消化器の副作用の報告は結構あって、当院の患者さんでも生理痛でロキソニン系を飲んでいる人は多いですが8割くらいの人は胃痛や胸焼けなどを訴えていました。

 次にアセトアミノフェンが含まれているノーシンやセデスです。これらもロキソニンと同様に鎮痛薬ですが、ロキソニンに比べて消化器の副作用が出にくいので鎮痛薬を飲んで胃が痛くなる人や胃潰瘍や胃炎がある人はアセトアミノフェンの方が良いかもしれません。鎮痛作用自体はどちらもありますので、どっちかが弱くてどっちかが強いということはありません。

 最後にイブプロフェンが含まれているイブやナロンエースです。これらもロキソニンと同じくらい知られています。生理痛のCMでイブやナロンエースをよくみます。イブプロフェンも先ほどの2つの薬と同様に鎮痛効果がありますが、他のものと気をつけなければならないことが15歳未満の人の使用ができないということです。

 上記の3つの鎮痛薬の他に漢方薬も市販薬としてありますが、漢方薬は生理痛という症状に対して処方するというよりかは、その人の根本的に改善させる必要がある体質の部分に対して処方して、それに生理痛に効くものも少し混ぜていくというものなので自分で選んだ市販薬の漢方で生理痛に効果が出ることは少々難しいと思います。

 また、上記以外にも子宮の動きをコントロールする薬もありますがそれは市販薬ではなく医師が処方するものなのでこちらでは割愛します。

 生理痛の薬といえども、これだけたくさんの種類があることがわかっていただけたと思います。

 なので薬の選択に関しては、原則として相談できる医師・薬剤師がいる人はそちらでまずは相談した方が良いでしょう。市販薬でなんとかしようとしても効果が出なかったり、薬を飲んでいても痛みが一向に引かない、悪化してくるなどという場合は子宮内膜症や卵巣嚢腫など子宮や卵巣そのものに何か病気があるかもしれないからです。そのような場合は、市販薬だけでは効果が出ないばかりか症状を治療しなければ悪化させることもあるので病院を受診してきちんと検査を受けるべきです。多くはありませんが、がんなどが隠れていることもあるかもしれないので検査をして、それでも異常が見当たらずに薬で対応していくという人は病院の処方薬や市販薬を選んでいくと良いでしょう。

 ただ、現実に病院での薬や市販薬を数種類使ったり長年飲んできても生理痛が変わらない人も多くいます。そこで、当院が今まで経験してきた生理痛の治療について次にご紹介していきます。

生理痛の鍼治療について

 生理痛がある人には以下のような特徴が見受けられます。まずはそちらから見ていきましょう。

鼠径部に圧痛がある

 鼠径部とは股関節の付け根のところをいいます。生理痛を抱える人のほぼ全ての人に鼠径部の圧痛が出ています。鼠径部のところを上下に2つにわけて、更にそこから内側から外にかけて4つに分け、合計8つのエリアに分けます。それぞれを押してみて生理痛の症状がひどい人ほど多くの圧痛が出るし軽い人ほど圧痛は少なくなります。8つとも全て痛い人はかなりの根深いものだと思われるし、2〜3つ以内ならば生理痛でも割と軽めのものと判別できます。ただし、症状が重くても痛む箇所が少ない人もいれば軽度の症状だけれど痛む箇所がたくさん出る人もいるので、必ずしもそうとは限りません。

 これらの理由としてプロスタグランジンという生理活性物質が生理中に分泌されて、それが鼠径部の靭帯に作用するからです。この靭帯がロープの様にピンと張ってしまうと骨盤内の血流やリンパの流れが悪くなってしまうので鼠径部に圧痛が出てしまい生理痛につながってしまいます。

冷えがある 

 生理痛の人は多くのケースで体のどこかしらに冷えがみられます。冷えは自分で自覚している場合とそうでない場合がありますが、大体は足先が冷える、手先が冷える、お腹が冷えると自覚していることが多いです。ただ、生理痛を持っている人はお尻や腰がかなり冷えているのをよくみます。しかもこれがまた自覚しているケースが少ないです。足や手は冷えるけど他は感じない、という人でもお尻や腰を触れてみるとヒヤッとしてかなり部分的に冷たいことはよくあります。生理痛で悩んでいる人は腰やお尻を実際に自分で触ってみてください。きっと他の体の部位よりも冷えている場所がどこかにあると思います。

腰痛持ち

 意外と多いのが腰痛。生理痛と腰痛をダブルで持っている人はとても多いものです。しかも治療する側としては生理痛と腰痛の関連の深さはよく知っていますが、一般的に生理痛と腰痛は切り離して捉えている人がほとんどです。それもそのはず、お腹の痛みの生理痛と腰痛なんて体の表と裏の症状なのでまさか関係あるとは思わないでしょう。しかしながら、子宮や卵巣はどこにあるでしょうか。下腹部に存在していますよね。そして腰はどこにあるでしょうか。下腹部の真裏はどこになりますか?生理痛の時に痛みが出る場所を触れたらその真裏がどこか考えてみてください。まさに腰がありますよね。よって生理痛で痛みを感じる場所と腰痛を感じる場所が表と裏で似たような場所にあるケースでは生理痛が腰痛と絡んでいるということもいえます。

 あとよくあるのが腰痛だと思ってマッサージや整体で腰回りの筋肉を緩めたり骨格を矯正してもらったりしてもその時はよくなるけどすぐに戻ってしまう腰痛の人。このケースの腰痛の人はなぜすぐ戻って治らないのかというと、腰自体に問題がないから。もし腰自体に問題があるならばそこを治療してもらっているのだから治るはずですよね。それでも治らないということは、その腰痛は体からのSOSのサインであるということがいえます。体の不具合を腰痛という感じ取りやすいサインを出して助けを求めているのです。この場合に生理痛のケースがよくあります。ずっと長年腰痛持ちでいつも腰が痛い、マッサージしても薬飲んでも効果がないという人で生理痛がひどくないか尋ねると重い生理痛を持っていたり生理不順があったり何かしらの婦人科疾患を持っている人がとても多いです。

 以上のような特徴が生理痛がある人には多くみられます。ではそれらをどのようにして治していくのか、改善させていくのかをみていきます。

 まず、鼠径部の圧痛を取るために内臓の調子を整えていきます。内臓といってもメインとなるのは子宮と卵巣です。下腹部には子宮と卵巣の反応点があって、そこが生理痛の人は硬くなっていて圧痛も伴う場合が多いためその硬さを足のツボを使って和らげていきます。硬さが取れてくると圧痛も同時に取れてきます。その処置が終わりその他胃腸や膵臓、肝臓、胆嚢、腎臓などの臓器の調子も整えた後に、再度鼠径部の圧痛の確認をします。内臓の調子をきちんと整えられていれば、この時点で鼠径部の圧痛はなくなるか少なくとも半減しています。もし圧痛がなくなっていればそのまま少し時間をおいていきます。まだ圧痛が残っている場合は脇腹のツボを使って鼠径部の圧痛を取っていきます。この脇腹のツボは帯脈(タイミャク)というツボで婦人科疾患においては欠かせないツボでもあります。このツボに鍼をすると奥の方で硬いものを触れるので、それをゆっくりと鍼を動かしながら取って柔らかくしていきます。そのツボが柔らかくなれば鼠径部の硬さも取れて圧痛も取れます。

 次に冷えの処置を行います。冷えの処置は冷えている場所がどこかでも少々変わってきます。生理痛の人がよく冷えている場所は腰、お尻、下腹部の3点です。手足の冷えも多くの人が抱えていますが、治療的にはまずは腰やお尻、下腹部の冷えを処置していきます。

 腰やお尻、下腹部の冷えを処置する時は、灸頭鍼という温まる鍼をします。灸頭鍼は鍼の先にお灸をつけて鍼をしたところの周りを温めるのに使われます。ツボに刺す刺激に加えて温める効果もある一石二鳥の鍼です。鍼の先につけるお灸は皆さんが想像するモグサのお灸ではなくて、炭のお灸です。なぜこれを使うかというと炭のお灸の方が温まっている時間が長いからより多くの時間温めることができるからです。また、モグサの灸頭鍼だとかなりの煙が出て匂いも相当出てしまいます。お灸の香りは良い香りですが、中にはその香りが苦手な人もいるために無臭であれば誰にでも対応できるというメリットもあります。あととても細かなことですが、皆さんが着てくる洋服にも炭のモグサならば匂いが一切つくことはないので治療を受けた後に出かける用事がある時でも気にする必要がありません。

 最後に東洋医学ではホルモンと関係する臓器は腎といわれています。なので、腎の治療をしていきます。腎の治療をするにはまず腎の状態を確認しないといけません。確認方法は、お腹のおへそ周りと脇腹、腰の3点を触診していき硬いところや痛む場所がないかを診ていきます。腎が弱まるとこの3点の場所に反応が出てきます。この反応は腎が弱い時に出てくるので、腎が適切な治療をして回復すればこれらの反応はすぐに消えます。腎からしてみれば、SOSを体に出しているから適切な処置をして助けてあげればSOSを出す必要がなくなるので反応が消えるといったところです。

 もう一つ、ストレスの除去も忘れてはいけません。体にストレスが溜まっていると自己治癒力が弱まって治す力が弱くなるからです。ストレス具合は首の状態を診て判別します。首には胸鎖乳突筋という筋肉があり、この筋肉はストレスを受けて自律神経が乱れると張ってきます。よって大量のストレスがある時はかなりガチガチになります。こちらも腎の反応と同様に、ストレスを受けて自律神経が乱れたことのサインなので自律神経を整える処置を行い乱れが治ればサインを出す必要がないので胸鎖乳突筋の張りは取れます。

どのくらい通えば良い?

治療する上でおおよその目処がある方が安心でしょう。これから生理痛の治療の大体の目処をお伝えしていきます。鍼灸治療は東洋医学に基づいて治療するために個人差が大きいので全て当てはまるともいえませんが、今までの当院での治療経験を伝えて参考にしてもらえたらと思います。

 はじめに回数からいえば初診を含めて5回は絶対に必要です。5回治療に来られなければ何を基準に体の判定をして良いかわからず正確な治療ができません。なので、当院で治療する上では5回はきちんときてもらう必要があります。治療の間隔としては、初診から2回目までの間は7〜10日の間で、2回目から3回目の間は14日の間で。ここまでで3回の治療が終わります。その時点で生理痛に伴う体のあらゆる反応が取れてきているはずです。ではその後の2回は何のためにあるのでしょうか。これは体の悪い反応が取れた状態で2回生理を迎えてどのくらい痛みが出たのか、以前よりも変化があったのかを判定するためです。また、2回生理を迎えれば卵巣から子宮へ排卵される際に左右の卵管を1度ずつ通るため卵巣や卵管の左右の状態も症状の有無で確認できるからです。

 以上で5回の治療を終えて、生理期間も2回は迎えられてどのような状態だったかがわかります。その上で、改善したので痛くなったらまた来るも良し、ケアの必要性を感じて定期的にメンテナンスで通うも良し、そこから先は皆さんにお任せしています。ちなみに、当院は5回の治療を終えた後にケアの必要性や鍼灸治療をすると全身の筋肉の緊張がほぐれるので体も快適になることから1ヶ月に1回、余裕があれば2回でケアをされていく人が7割くらいいらっしゃいます。このことは予防という意識を今まで持たなかったけれど、実際に治療の効果を感じてもらえて鍼灸の良さを理解していただけたからだと思っています。

 以上、生理痛の薬のことや治療方法をお伝えしてきましたが、当院では皆さんの生理痛に少しでも貢献することができて役に立てればとても嬉しく思います。その上で鍼灸の良さも感じていただけたら嬉しい限りです。生理痛で悩む皆さんが少しでも症状が改善されることを願っています。

自分でもできる事は?

 自分でできる方法としては、まず第一にして欲しい事は下腹部を温める事です。ほぼ全ての生理痛を抱える人は下腹部が冷えています。この冷えは自覚していなくても実際に触ってみると冷えている事が多く自分で気付いていないだけということも少なくありません。なので、カイロや湯たんぽで温めてください。自宅にいる時は湯たんぽで温められますが、仕事や外出時にはカイロを下腹部に貼れば温める事ができます。

 その他に下腹部だけではなく足も温めると良いでしょう。生理痛がある人はだいたい冷え性の体質であることが多く見受けられます。特に足に関しては、心臓から血液が出て行ってお腹を通って足まで届きますが先述した様に生理痛を抱える人は鼠径部の張りが強いために、鼠径部で血流が滞ってしまいその結果足先まで十分に血液が届かないから冷えてしまいます。体温を運んでいるのは血液ですからね。

 また、アロマやビタミンなどでもケアができるみたいです。その部分に関しての詳細は他のホームページやブログなどで調べてみてください。当院の生理痛の人にお伝えしているセルフケアの方法は基本は温めることと、必要な人には食事指導をしていますが食事指導に関しては個人個人で生活環境が異なるためにここでは割愛させていただきます。

まとめ

 生理痛に関して一般的な知見と当院が今まで経験してきたことを交えてお伝えしてきました。生理痛はあまりにも重度になると会社を休んだり家事ができないほど寝込んでしまったり、とにかく不便だし何よりも痛く辛いものです。毎月の生理のたびに辛い思いをしたり恐怖を感じたり、薬でコントロールしてもだんだんと効果が弱くなってきたりしてる人でもまだできる事はありますので自分なりに色々と調べてみて鍼灸を始めいろんな方法を試してみてください。

 皆さんの生理痛を緩和させることに当院が関わることができれば最善を尽くして治療させてもらいます。もし関われなくてもかかりつけの病院で再度相談してみたりセカンドオピニオンを受けたり、近所の治療院で施術を受けたりして少しでも生理痛が緩和されることを願っています。

 生理痛についてのご相談はこちらまで。LINEでもお気軽にご相談いただけます。

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